
京都産業大学が手にした、TikTok100万再生よりも価値のあるもの。
虹と満月と株式会社 西村社長にも聞いてみた!
インタビューにご協力いただいた皆さん
京都産業大学 広報部(入試広報担当)
新宮 龍吾 様
キャンパスツアースタッフの全体マネジメントを担当し、広報部を新設。
学生主体でのTikTok広報の発起人

虹と満月と株式会社 CEO
西村 海都 様
TIkTok一次代理店のZ世代マーケティング特化企業を創立。
本活動の総合プロデュースを担当し、プロの知見で学生を支える

京都産業大学
キャンパスツアースタッフ 広報部
こはる 様
現3回生で、2024年2月の活動開始当初から参加。
2024年8月〜2025年8月の1年間全体リーダーを務め、アカウント運用を担う

京都産業大学
キャンパスツアースタッフ 広報部
なおか 様
現3回生で、2024年2月の活動開始当初から参加。
2024年8月〜2025年8月の1年間企画リーダーを務め、中心的な役割を担う

京都産業大学では、学生団体「キャンパスツアースタッフ 広報部」の学生たちが、大学広報用のTikTokアカウント「好きな先輩が行ってる大学。」(sukisen_ksu)の運用を担い、企画・撮影・編集・投稿・コメント対応・分析などのすべてを学生たち自身で行っています。
ダイヤ書房では虹と満月と株式会社とのコラボレーションにより、この活動を総合的にプロデュースしています。
SNSは、学生の魅力が伝わる広報
———まず、学生主体でTikTokを運用する取り組みを始めた経緯から教えていただけますか。
【新宮】 きっかけは、高校生によく響く情報を届けたいという思いからでした。今の高校生はYouTubeやTikTokなどSNSを当たり前に使いますよね。それなのに本学では当時TikTokは全くしていなかった。その点に疑問を感じ、学生スタッフたちに相談してみたら「TikTokやりたいです!」と声が上がりまして。
———日頃からSNSを使う学生も多いですしね。
【新宮】 また、「京都産業大学のオープンキャンパスが一番良かった」と言っていただけることが以前から多くて、その理由も学生スタッフの存在だと言われていたんです。それならSNSも大学職員が一方的に情報発信するより、学生が自分たちのリアルな魅力を発信した方が絶対に響くと思っていました。
———当時、大学公式アカウントによるTikTok運用は前例が少なく、開始にあたって不安や課題はありませんでしたか?
【新宮】 正直に言うと、学生だけで手探りで始めるのは非効率かもしれないと考えました。動画の撮り方ひとつとってもコツがありますし、TikTok特有のアルゴリズムもある。闇雲に進めるよりは、プロの力を借りて進めたいと思っていました。

ノウハウ伝授とモチベートで結果を出す自信はありました
———虹と満月と株式会社さんをご紹介するきっかけは、当初ダイヤ書房がInstagram運用をご提案するなかで、学校様からTikTokに力を入れたいというご要望を受けてのことでした。西村さんはお話を受けて、当時どのようにお考えでしたか?
【虹と満月と 西村】 あの夏を取り戻せ(※コロナで中止になった幻の甲子園の復活プロジェクト)の時に、高校球児の想いをリアルに伝えるには、僕が主体的に進めるより彼らに僕のノウハウを全部植え付けて動いてもらう方が、断然よいものができることは経験として知っていたんですね。それを大学広報に置き換えて、メンバーを適切にモチベートすることで自ずと結果は出ると考えていましたので、自信はありました。
【新宮】 「学生が主体となる中身の部分までサポートしますよ」と提案してくれた企業さんは初めてで、「これを待っていた」と感じました。私は野球経験者でもあるので、甲子園の復活プロジェクトの件も素敵だなと。だからこの人たちだったら確かかも、手を組みたい、と思いました。結果的に大学内でも提案が通り、このプロジェクトが実現しました。
【なおか】 私たちも企画内容を聞いて「面白いかも?」って気持ちがだんだん湧いてきて、思い切って飛び込みました。実は私、新しいことに元々積極的なタイプじゃなくて、SNSもみんなと違って私はほとんど触れてこなかったので、本当にできるか不安はありました。でも「自分たちの手で大学の魅力を伝える」という面白さにチャレンジすることに決めました。

「TikTok見て、来ました」のリアル
———運用当初は未知の挑戦だったと思います。最初の投稿はどうでしたか?
【こはる】 最初に出した動画が10万回再生を超えて、2本目でいきなり100万回再生に到達しました。アカウントを開設したばかりだったので「大学公式でここまで伸びるの!?」と驚きましたし、自信にもつながりました。
【新宮】 あのときは「大学がTikTokで一夜にして有名になった」って錯覚するほどでした(笑)。学生たちも大喜びで、スタートダッシュとして最高の体験になったと思います。あの衝撃は忘れられませんね。
———では、実際にTikTok運用を始めてみて得られた成果や効果について、何か手応えを感じたエピソードはありますか?
【なおか】 手応え、めちゃくちゃ感じます!例えば、直近のオープンキャンパスで、新潟県からわざわざ来られた受験生の親子に「TikTok見てますよ」って声をかけてもらったんです。お母さんも動画を見てくれていて。関西圏外まで私たちの発信が届いていると実感して、「SNSの影響力ってすごいな・・・」って鳥肌が立ちましたね。
【新宮】 数字にも表れていて、特に大きかったのは今年の新入生への効果です。実は今年キャンパススタッフに応募してくれた新入生が過去一番多かったんです。面接で応募理由を聞くと「高校生のときTikTokで京産を知って、大学を選ぶきっかけになりました」「オープンキャンパスに一度も行ってないけど、TikTokで大学の雰囲気を掴めたので志望しました」ってリアルな声が次々出てきて。

想像以上の反響と効果
———それは嬉しいですね!
【新宮】 TikTokでの発信がしっかり高校生に届いて、大学の志望度にまで関わっていることが結果として見えたんです。中には「TikTokを見て京産を第一志望に決めました」なんて学生もいて、これは本当にやって良かったなと感じましたね。おかげでオープンキャンパスの来場者数も増加傾向ですし、高校生への情報拡散力は想像以上でした。
———他にも変化はありましたか?
【こはる】 はい、DMで質問や応援メッセージが届くようになったんです。「来年京産受けるんですけど、どこに住むのがおすすめですか?」とか「絶対京産合格するぞ!」って決意表明を送ってくれる高校生もいました。私が高校生の頃は大学の公式アカウントへのDMはハードルが高くて送れなかったです。でも学生が発信してるから話しかけやすいのかなって、そんな風に高校生が気軽に相談できる場になっているのが嬉しいです。
【新宮】 SNSの効果は他大学の職員さんからも注目されています。「京都産業大学さんのTikTok、どうやって運用してるんですか?」と他校の広報担当の方々に聞かれることが増えました。大学関係者の集まる会議でTikTok施策を発表する機会もいただくようになって、「どうやら京産大は学生主体の広報でうまくいっているらしい」と、嬉しい誤算というか、まさかこんな反響まで出るとは思いませんでしたね。

新しい挑戦に批判はつきもの
———反響が大きい一方で、ここまでは苦労もあったのでは?
【こはる】 最初は「Instagramならいいけど、TikTokに出るのはちょっと・・・」と出演をためらう学生も多くて、撮影には苦労しました。また投稿を始めたころは、やっぱり心無いコメントもけっこう多くて。実際、陰でコメントを削除してくれていた先輩リーダーもいて・・・心が折れそうになることもありました。そんなときは西村さんや新宮さんに相談して、話を聞いてもらったりしました。
【虹と満月と 西村】 その当時は僕も「新しいことを始めたら批判はつきもの。でも、いいものを作っていることに間違いはない。状況が逆転する日が必ず来るから一緒に頑張ろう」って励まし続けました。それから時間が経つにつれて肯定的な声が増え、学内外から「すごいね!」って称賛されるようになりましたよね。これは本当に学生メンバーみんなの頑張りと成長によるものです。
【新宮】 西村さんが企画や動画の編集のアドバイスだけではなく、チームに対するフォローや、適度な距離感で寄り添ってくださっていることが学生たちの成長にもSNS運用の成功にもつながっています。チームの結束を強めたことは間違いありません。

僕から見てもプロ顔負けですよ
———次に、プロジェクトを通じた学生たち自身の変化や成長について伺いたいです。活動を続ける中でモチベーションやスキルの面でどんな成長がありましたか?
【なおか】 一年で企画・撮影・出演・編集・投稿まですべて経験しました。毎月コンスタントに動画を作り続けて、回を重ねるごとに「もっと良いものを作ろう!」って創作意欲も上がって、すごく世界が広がった気がします。チームのみんなも同じ気持ちで、互いにアイデアを出し合ってモチベーション高くやってこれました。
【虹と満月と 西村】 僕から見ても、本当に驚くほどプロ顔負けのスキルを身につけましたよ。すべて自分たちで進行して、正直われわれプロの仕事と同じことですからね。投稿本数も一般的な企業アカウントより多いくらい精力的に取り組んでいましたし(笑)、実践で培った力は本当に一級品だと思います。
【新宮】 うん、それは感じますね。最初は手探りだった学生たちが、今やすっかり逞しくなって・・・本当に頼もしい限りです。動画のアイデアひとつ取っても、「高校生にウケるにはどうすればいいか?」を自分たちで考え抜いて工夫していて、「おお、成長したなあ」って何度も感心しました。

改めて京産が大好きになりました
【虹と満月と 西村】 これはお世辞抜きで、実際TikTokの数字が物語っていますから。フォロワー数や再生回数がしっかり伸びているのは、皆さんの努力と成長の証しですよね。
【なおか】 嬉しいです。私も人前で意見を出す積極性が身についたし、SNS発信のスキルは就活でも強みになると思っています。実際、この経験は就職活動の面接でも胸を張って話せる「学生時代に力を入れたこと・頑張ったこと( = ガクチカ)」になりましたし、「SNS運用」が企業から求められる時代なので、自信になりますね。
【虹と満月と 西村】 まさにその通りで、SNSを使ったプロモーションに力を入れる企業は今後も増えていきますから、学生のうちから実践して結果を出したのは大きなアピールになります。このプロジェクトで培ったリーダーシップやチームワークも、きっと大きな財産になりますね。
【こはる】 本当にそう思います。最初は「ただの大学生の自分に・・・」って自信がなかったです。でも思い切って飛び込んでみたら、SNSを通じて自分が人に影響を与えられるんだってことに気付けたんです。普通の学生生活を送っていたら絶対に見られなかった景色を見られたし、こんな自分になれるなんて思ってもいませんでした。今では「この活動をやり遂げた」ということが自分の大きな自信になっています。

学生と職員で創る広報ってこんなに面白いんだ
———京都産業大学さんとしては、学生主体のSNS運用を今後も続けていきたいとお考えですか?
【新宮】 そうですね、基本的には今の形をこのまま続けていきたいと思っています。大学公式SNSを学生が運営する形って最初は珍しかったですが、やってみたら上手くいった。始める前は「プロジェクトと違って終わりのない取り組みだけど、学生たちのモチベーションを維持できるかな?」という不安も少しありました。でもいざ始めてみたらみんな楽しんで取り組んでくれていますし、代替わりもうまくいっています。毎年新しいメンバーに引き継いでいけば活動を継続できる体制が整ってきたので、この流れを絶やさず続けたいですね。
【こはる】 継続という点では、後輩たちが本当に頼もしいんです。私、自分たちの代で築いたチームワークが代替わりでどうなるか内心不安もあったんです。でも心配無用でした!つい先日も後輩たちが自主的に話し合いの場を設けて、今まで以上に結束しているそうです。この先ますますパワーアップしていきそうで楽しみです。
【新宮】 他大学さんにもぜひ学生の力を信じて任せてみてほしいですね。最初は勇気がいるかもしれませんが、学生ならではの発想力やフットワークの軽さは絶対に広報の武器になります。それに今回、学生たちが主体的に動くことでここまでの成果が出て、組織としても新しい風が吹きました。私自身も彼らの情熱に何度も心を動かされましたし、学生と職員が一緒になって創り上げる広報ってこんなに面白いんだ、と実感しています。入試広報への効果も結果に表れましたし、むしろそれ以上の価値があります。
【なおか】 私も、他の大学の学生さんにも「絶対やってみた方がいいよ!」と伝えたいです。SNSを通じて自分の大学を盛り上げる経験って、自分自身の成長にもつながるし、何より自分たちの大学がもっと好きになるんです。私もこのプロジェクトを通して改めて京産が大好きになりましたし、胸を張って「京産に来てよ!」って発信できるようになりました。

